◇◇◇
「た、助けてよ柚邑ぉぉ!!!」
叫ばれたのは、男子トイレの個室の中。
図書室の隣のここは入る人がまずいないためか、俺はここに連れてこられた。
「な、に…?」
個室に入るなり、くるりんぱ。
人間の姿に戻ったスズは、涙目で叫んだ。
「あ、ああ…アカネさまがぁああ…よりによってご主人様に興味をお持ちになるなんてぇ…どうしよぉ…」
うわぁああん、と男子トイレ内で大号泣し始めるスズ。
「え?なに、どうしたの?は?」
すっかり訳がわからなくて、俺はかなりとまどう
当然、『ご主人様』という呼称にも。
話の流れから、『ご主人様』って…安倍晴明だよ、な。
意味がわからずハテナしか口にできそうにない。
「あの…ね、柚邑。怒らないで聞いて」
ぎゅ、と。
腕を捕まれて上目使いで、すんすん泣きながら懇願される。
…宮下さんがみたら鼻血ものだよなあ、とか思った。


