“『親とおんなじ狐を殺せるはずがない』
私もそう思うぜ”
やけに凛々しく彼女は言う。
“確かに、あまっちょろい今と違って昔の話だし、悪い奴だと思ったら切ることはできんのかもしんない。
けどな、見るかぎり一方的に傷つけてんだ”
自分を生んで育ててきた母とおんなじ種族を。
一方的に殺すか?
“し、か、も、だ。
こいつ、みんなに好かれるくらいの平和主義だったらしい
――そんなやつがタマの話も聞かずに切るか?
アイツはあれでも志があった。夢があった。
確かに天皇をタブらかした咎人(トガニン)と言われるかもしんねーよ。
しかも安倍晴明は天皇の側近よ。
役に立ちたいという気持ちがあったかもしんない
そのためには咎人の狐を切った、なら話は単純。
けど、実際は違う。
こいつ、悪いやつにはちゃんと話をしてから退治してんだ。
なのにおかしいだろ?”
親友だからの台詞だ。
訳もわからず切るなんて。
許せない、と。
彼女は怒る。


