「『シロを簡単に切るようなやつを私は上司と認めない』
もとからアカネと鸞はちょいちょい小さなことで対立していました。
意見がおんなじだったり、無駄にプライドが高かったり。
ひどいときはお菓子をめぐって4日も口を聞かなくて…うぅ」
井戸にもたれてなきはじめた。
苦労してるんだなあ、と背中をさすってやる。
「ゆーちゃんを娘にしたいです…」
「…や、あの、俺両親いますから」
丁重にお断りして。
…アカネらしいと思った。
大事な仲間を切った悪者に思えて仕方なかったんだろう。
タマのことで憤慨したあの人が、恋人のことで怒らないはずがない。
でもね、アカネ。
そのうらにはいっぱいの決断や優しさがつまっていて。
アカネを想う人がたくさんいて。
鸞さんだってその一人なんだ。
自分で汚れ役を買って出たなんて、最高の上司じゃない?
「そのうち、献身的に己を愛する黒庵にアカネは惹かれ、恋人となりました。
だけど、まだシロを想うアカネを支えていくその辛さは、並大抵のものではなかったようで…何度も黒庵は泣きついてきましたよ」


