妄想世界に屁理屈を。


「結局、二人は番にはなれませんでした」

「…え?」


確かに、事実を見ればそうであることがわかる。


現状は黒庵さんがアカネの隣にいて、シロは行方不明。


それはなぜか。



「…シロは、ある日忽然と消えたんです。
わかりやすく言えば、退治されました」



笑顔が完全に消えた驪さんは、どうしようもなく怖かった。


怒ってるんだ。


大事な息子を退治した輩を。


結婚前の息子がいきなり殺されたようなものだ。

当然である。


「…死んでないことはわかってます、けれど行方が知れない」


5羽で一心同体な彼等。

1羽でも欠けたらなし崩しに死んでしまうらしい。


アカネたちは生きている。


だから、まだシロは死んでいないのだ。



「あのときのアカネの荒れっぷりは半端なかったですよー」

笑い事じゃないよ驪さん。

「殺したやつ出てこいって怒って、返せって怒って。
疑わしいやつを半殺しにして…ああ育て方を間違えました…」

犯人じゃないの!?疑わしいやつなの!?

…アカネは怒らせないようにしよう。