「…破壊?」
思わず聞き返した。
芯に、頭脳に、武に、貿易と来て…破壊?
創造神に相応しくない、異端児だ。
「破壊と創造は紙一重…陰陽図をご存じですか?
あれは陰と陽は裏表、共に存在するという意味なんですよ。
光がなければ影はできない。そう謳った図なんです」
二つの勾玉みたいな、Tシャツとかに記載されてるあれにそんな意味が…
でも、確かに。
あれは白い勾玉に黒いてんがひとつ。黒い勾玉に白いてんがひとつある。
混ざってる、否、混ぜられてる。
そうしてこの世はあるのだと、そういっているような図だ。
だから、可笑しくはないのかもしれない。
創造神に破壊神がいるということは。
「…破壊という属性にふさわしく、彼は仲間に触れることすら許されない子でした」
ぴちゃ、と水を井戸に落とす。
さらさらの水が美しく線を描いた。
「触れるだけで傷つける。からだ中が悪の塊でできている。おまけに壊す以外はいきる価値のないというように、コミュニケーション能力も低く設定されている。
そんな子でした」


