「しかし、あともうひとつ説明がいります。彼を語るには、鳳凰の白だというだけでは足りません」
井戸を覗きこむ彼。
白い白い水を眺めることで、思いだそうとでもしているのか。
はたまた、水に関係があるのか…
「彼はね。シロは――アカネの昔の恋人でした」
ああ、なんか繋がった。
乗り換えた、とか。
苑雛とよろしく…とか。
繋がる言葉は多々あった。
だけど、推測まではいかないヒントだったから。
「…本来、5羽いる鳳凰を番(ツガイ)にさせようというのがむちゃなのです」
「確かに。だって余りますもん」
奇数はどうしても偶数にはできない。
足すか、引くかしなくては。
「その通り。だから、発生させた際にそのことを配慮したのか、シロにはある属性がありました」
深い井戸から水をすくう。
童顔には似合わない、憂いを帯びた顔が水に写った。
「シロは、破壊の神様です」


