妄想世界に屁理屈を。


どこか無意味に得意気だ。

「あー…そんなことよりですね」


本題に入りたいらしく、井戸ではなく俺を見つめてきた。

なにを話すのか想像もつかないが、とりあえず息を飲む。

覚悟は決めてるから早くいってほしいのだ。



「――さっき、アカネと鸞が言い争っていた内容を覚えてますか?

シロ、という名を」




――『シロの時もそうじゃった。消えたのに、その事実から逃げて――黒庵に乗り換え“うっせぇよ!”

――“いっつも苑雛とよろしくふわふわ幸せやってるあんたにゃ、わかんねーんだ!シロを簡単に切るのがリーダーのすることなら、そんなの――”


ああ、さっきちょっとひっかかったあれか。


「…俺は無知じゃないよ。だから、想像くらいはできる」

「本当ですか。それは嬉しいですね!息子が育つ感覚です」

いや、俺驪さんの息子じゃないんだけど。

いやでも鳳凰と関わらなきゃならない生活だし、知識は身についてしまう。



「鳳凰の、白の字でしょ?あの消えたっていう…」


「正解です」



にっこりと、驪さんは微笑んだ。