妄想世界に屁理屈を。


「あれあれ?どうしたんですかスズ〜」


ミサキくんのよりずっと砕けた敬語で、スズを優しく受け入れる。

…兄弟にしか見えないんだなあ…



「…こくあ…さまがぁ……ほ、他の女と…ぅうう「そのことじゃ」



鸞さんがスズの涙ながらの告白を遮った。


「今日、わらわたちはそのことで話があったのじゃ。…ま、ちと遅かったようじゃがの」


俺を…否、アカネを見つめる。

相変わらず気配はなかった。


「我が主は、黒庵さまが行方不明と聞いて、独自に調べてくれたの。仕事そっちのけで!」

「苑雛のためじゃよ♪」

「…鸞ー黒庵もアカネもいなきゃ仕事できないんだから当然でしょー」

ラブラブに抱き合う二人を覚めた声で制したのは驪さん。


…調べてくれてたんだ。


「…まあ吾の能力はリーダー。部下の管理を怠ってはならぬ仕事柄じゃしな」

かっこいいことを言って、どこかOLチックな鞄から書類を取り出す。

会社の機密なんちゃらプロジェクトとか書いてありそうなのに、内容は女のことだった。



無論、黒庵さんの隣にいたやつである