そんなことを考えていたら、車は一軒のアパートの駐車場に止まった。
クリーム色の外装。
住宅街というより、ファミリー層でもなく。
その手前の、カップル向けといった感じのアパートだった。
三階建てのこぢんまりとした感じだった。
「こ、こ?ここにだありんさまは…いえ、黒庵さまはいらっしゃるの?」
「はい。ここの二階にいらっしゃいます」
スズが視線をさ迷わせる。
「…どういうこと、なの?」
「普通鳳凰って復活したらどうなるの?」
“普通は、お父さんのところに行くんだ。そっから活動拠点を考えてそこらへんの家とかを借りる”
活動拠点。
創造という仕事を始める際の拠点か。
「拠点…なの、ここ?」
「さあ…とりあえず行こうよ」
スズがずんずん進んでいく。
階段を登りきると、二つのドアが広がった。
「202でございます」
「…」
ごくん、とアカネが唾を飲み込む。
覚悟だろう。
変わってしまった旦那に会うための。


