◇◇◇


ちゃぷん、となぜか温かいお湯の中。


「……」


呆然と俺はそこにいた。

年頃の子のおかげで、二つの種類のシャンプーとリンス。

タイル張りの床と天井。

やけに見慣れたこの景色。

お日様みたいな温かさのお湯の中――つまりはお風呂。


「…えーと」


なぜここなのか、わからない。


しかしお風呂に無理矢理行かされたということは入れと言うことだろうな。


そのとき。

がらりと横開きの扉が開いて、タオルを巻いた蜜柑が入ってきた。


そして中にいる俺を呆然と見つめて。



「んんんぎゃあああああああっ」



思いっきり響く空間で叫んだ。

お湯が揺れたぞお湯が!


「あ、あ、あ、あ、あ、」

「よう」

「ようじゃねーよこの変態兄貴!!あんたなんでお風呂に、いつの間に、おかあさーん!に、兄さんがぁあああっ!」


ばたばたと大慌てで去っていく、俺の我が妹。


「…わざとじゃないんだよー…」


やけに小さな声で話しかけるも、むなしく響くだけ。


また関係が薄れた…




そもそもなんでこんなことになってるかというと。