妄想世界に屁理屈を。



目の前で倒れた親友を助けたかった。

その一心で、私は腕を切る。

近くにあった石で、血を出すだけ出す。


飲ませなくては。


不死鳥と名高い、私の血を。


竜の血も入っているため、再生能力は高いはず。


『馬鹿ね、本当に。あなたって人は』


くす、と死にかけてるくせに、やけに妖艶に笑うタマ。

てらてらと輝く美しい白髪の髪に、戦争が起こるのも頷けるくらいの美貌。

深紅の血すらもアクセサリーに変えてしまう、腕の中の彼女。


『痛い思いして…無駄と言ってるでしょう?』

『助けたいって、思っちゃダメなのか!?タマは、なんも…悪く、ぅ…』


息が詰まる。

ただでさえ涙で呼吸がしづらいのに、血のせいで意識が朦朧として余計に辛い。


『わたくしは生き述べるわよ、何がなんでも。目的があるもの、死んでなんかいられないわ』


青色の瞳が、空を舞う。

青空が瞳に移った。