妄想世界に屁理屈を。


不意に、話し出す。


「アカネさまが理想とされる考えや行動をしているにも関わらず、報われない、可哀想な子なんだ」

顔は見えない、けれど。


「アカネさまは玉藻前ちゃんを救うために体が欲しいんだと思うの。だから――」


小さい背中に主の夢を背負って。


「だから、頼むよ人間…ううん、柚邑」


忌み嫌う人間に頼み込むなんて、信じられない行為。

だけどそれを払ってまで、スズは俺に頼った。


「俺になにができるかわかんないけどね」


だから、命じられたことはしよう。

ニョタ化だって、我慢できない代物じゃない。


スズは、自分で主の役に立ちたかった。

けれどその主であるアカネは、スズを危険にさらしたくないばっかりに拒んだ。

それでもスズはアカネの役に立ちたいから、俺に頼んだ。


それを俺が拒絶したら、それこそスズは面目が立たなくなってしまう。


可哀想だ、さすがに。


だからまあ、頑張ろうと思う。神様見学を。