「生んでもらったって、は、え、うそ?」


“…ちょっとこっちにこい”


ぐい、とジャージをくちばしで摘まんで、俺を黒庵さんの部屋、もとい俺の部屋へ誘う。

たぶん大声をだしたから、バレたらヤバイからだろうな。


ふすまを開けて入ると、パタパタと飛びながら「落ち着け人間」と落ち着けないことをいった本人が言う。

暗い部屋は、廊下と仕組みが同じで、人が入ると光がついた。


“生んだっていっても…生き返らせてもらった的な”


「何があったの!?」


――確かに、納得しないかと問われれば、合点する節がない訳ではない。

アカネと繋がったものしか見えないアカネの姿が、終始見えて聞こえている。

どこかで不思議だったんだ。


“…私は、最初は本当にただの雀だった。
ただ他と違うところをあげれば、容姿だった”


「容姿?」


“私の姿、ちょっとだけ変わってるだろ?”


朱と茶色の混じった羽に、円らな茶色の瞳…

“そんなんじゃ女にもてないぞ?”

ふっ、と優しく笑って。