妄想世界に屁理屈を。


障子を破らないようにそうっと開いて、夜の廊下を進む。


電気がないらしいここでは、不思議なことに歩くたびに両端の灯籠のあかりがつく。

とても幻想的な光景である。

が、確か近所のショッピングモールのトイレにも同じような仕組みのやつがあったことを思い出し、美しさの差を感じた。


とりあえずアカネの部屋へ行こう。

黒庵さんの隣だから近い。

障子から灯りが漏れていて、中の影がうごめいていた


二人ぶん。


アカネと驪さんだ。




「…いいよ、本当に」

「いえ、行きます。柚邑さんに甘えていてはいけませんよ?」


俺の名前にビビり、つい聞き耳をたててしまう。

な、なんだ?行く?どこに?