妄想世界に屁理屈を。



離れの部屋の前に着く。


パーンッと勢いよく襖を開けたスズは、部屋に勢いよくダイブした。


「きゃぁああっ」

「わっ、と」


中には人間がいて、部屋は書斎みたいだった。

首が曲がりそうなほど高く積み上げられた本棚に、ぎっしりと詰まった本。


畳の部屋に幻みたいにいた男の子に、スズは飛び付いた。


「スズ!」


いきなり抱きついてきたロリ着物少女に、たいして驚かないその人。


中学生くらいの男の子で、若干童顔だ。

本を読んでた途中らしく、卓袱台みたいな文机に本を広げている。

そんな彼に嬉しそうにスズは抱きついていた。


「久しぶりですねー」

「うん!久しぶりです!」


…兄弟にしか見えない。


呆然と突っ立つしかない俺に気づいたらしく、彼はふと振りかえって。



「どうやらおかしなことになってるようですね、アカネ」



“まーなー”


当たり前のように彼はいった。