「黎奈」 不意に雷に名前を呼ばれる。 「ん?」 「できた!」 私の声とお母さんの声が被る。 「じゃあ、いくわよー!」 その声と共にカメラのスイッチを押す。 ピッピッピ 一定のリズムが刻まれる。 その音がやけに遅く聞こえた。 私の後ろでは風雅と瑠雲がはしゃいでいる。 雷の次の言葉を待つ。 シャッターが鳴る数秒前、 「おかえり」 雷のその声と「カシャッ」っとカメラのシャッター音が重なった。