皆の顔が絶望感で溢れていた。
諦めたわけじゃない。
だけど、悲しみの方が勝っているのかもしれない。
黎奈を連れ戻せなかった悲しみがきっと皆の中で風船のように大きくなっているのかもしれない。
覚悟はできていた。
もう終わるんだ。
勝てなかったのは悔しいけど黎奈の顔が見えただけ十分かな。
皆も声は出さず黎奈をじっと見つめていた。
ごめん、父さん俺約束守れなかった。
そっちに行ったとき俺怒られるのかな。
怒られて当然か。
皆が何を今思ってるのか分からない。
だけど、俺は皆に出会えてよかった。
黎奈もそう思うだろ?
ありがとな。
俺は黎奈を見ながら微笑んでいた。


