皆を涯の元へ連れてきた。
少しずつ回復をしているようで声も出ていたし、座ることも出来てきているようだった。
ただ未だに雷は目を覚まさない。
「雷、どうしたんだろう・・・」
風雅が顔を覗き込む。
「瑠雲、もう1度話してくれないか?」
「あぁ・・・。
辛そうだったから雷の元へ行ったんだ。
名前を呼んだら少し笑ったような気がしたから、このまま近くにいようと決めたら、
いきなり狂ったように叫んで。
呼吸も上手く出来てなくて、名前呼んでも返事しなくて、声をかけてもひたすら叫ぶだけ。
すごい辛そうだった。」
「大丈夫かな・・・」
天音が濡れた雷の頬をハンカチで拭いながら呟いた。
「やはり無理をさせすぎたか・・・」
「でもよ、なんで雷だけこんなことになったんだよ?」
「この魔法は発動させた者が1番痛みを伴うんだ。
だから俺たち以上の痛みを雷は味わったことになる。
それに、俺達には魔力が完全にあったが雷はキーリルイを発動させたことによって魔力が通常の半分以上消耗していた。
魔力があることで、ある程度痛みが和らぐんだ。
でも、雷は俺達みたいに魔力が完全じゃなかった。
だから意識を失ったと俺は思う」
涯の言葉を聞いた皆の顔が驚きと悲しみに変わる。
「俺たちの痛みより遙かに痛みを感じていて、
それを和らげる魔力もない・・?
こいつ、どれだけの痛みを感じてたんだよ・・・」


