「雷?」 不意に名前を呼ばれ声の主に目を向ける。 「どうかした?」 「なんでもない」 瑠雲の顔が笑顔になる。 「そっか」 早くこの笑顔を黎奈に見せたい。 「あ、やべ。俺この後約束あるんだった。」 思い出したかのように瑠雲が言った。 「デートか」 「違うわ! 瑠音と遊ぶ約束しててさ」 「弟思いの良い兄ちゃんだな」 「それほどでも?」 悪戯っ子のような笑みを零した。 「急がなくていいのか?」