side黎兎
いつものバス停で降りる。
なにも変わらない帰り道。
ただ、1つだけ違うのは
隣に黎奈がいないこと。
いつもなら話ながらここを歩いてたっけ。
ふと、足を止める。
あ、ここの電柱で黎奈自転車ごと突っ込んだっけ。
中学生の時、ふざけて二人乗りしてたら見事にぶつかったんだっけ。
あの時は怒りより黎奈の笑い声につられて笑った覚えがある。
なんだかんだ言って俺アイツに弱いのかな・・・。
そう思いながら電柱の横を通り過ぎる。
今日、母さん家にいたっけ。
いないと良いな。
この状態で母さんに話せるかどうか・・。
俺も気を抜いたら泣きそうだし。


