涙が頬を伝う。
こらえようとしたけど無理だった。
俺に泣く資格なんてないのに。
「なにが違ったの・・?」
「カイザーの魔法が、あたったのは・・・黎兎じゃっ、ないんだ・・。
黎奈、なんだ・・・っ」
「えっ・・・」
「いつもの黎奈なら、あんな魔法あたっても、かすり傷ですんでたっ・・。
でも、黎兎を、弟を、守ろうと・・・必死だったから、体が、動けないはずなのにっ、黎兎の前に、無防備で、飛び出した・・・」
無意識のうちに体が動いたんだろう。
毎日喧嘩してても大切な家族だから。
「なにも考えずに飛び出して、黎兎を守ったんだね。
黎奈は大丈夫?大怪我とかしちゃった?」
兄貴の顔が見れない。
この先が言えない。
言いたくない。
「涯?」
だけど、言わなきゃいけない。
震える唇を必死に動かした。
「・・・・・死んだ」
「え?」
「黎奈は・・・・ッ・・・死んだんだっ・・・」


