神聖魔法団【下】




涙が頬を伝う。



こらえようとしたけど無理だった。




俺に泣く資格なんてないのに。




「なにが違ったの・・?」




「カイザーの魔法が、あたったのは・・・黎兎じゃっ、ないんだ・・。
黎奈、なんだ・・・っ」



「えっ・・・」



「いつもの黎奈なら、あんな魔法あたっても、かすり傷ですんでたっ・・。
でも、黎兎を、弟を、守ろうと・・・必死だったから、体が、動けないはずなのにっ、黎兎の前に、無防備で、飛び出した・・・」



無意識のうちに体が動いたんだろう。



毎日喧嘩してても大切な家族だから。




「なにも考えずに飛び出して、黎兎を守ったんだね。
黎奈は大丈夫?大怪我とかしちゃった?」



兄貴の顔が見れない。



この先が言えない。



言いたくない。




「涯?」




だけど、言わなきゃいけない。


震える唇を必死に動かした。





「・・・・・死んだ」




「え?」



「黎奈は・・・・ッ・・・死んだんだっ・・・」