「やっぱり。
海に行った日、黎奈と少し話したんだよね」
あ、帰りの時か。
「なに話したんだよ?」
「その前に何があったか話して」
「・・・・・。本当に聞くんだな?」
「うん。聞くよ」
真剣な眼差し。
俺は細く息を吐くと話しだした。
「今日、カイザーに会った」
「!?」
兄貴の目が見開く。
「それで、戦った。
俺もやられた。雷も、風雅も、瑠雲も、炎虎も。
その中で助けてくれたのはやっぱり黎奈だった。」
「うん」
「必死に俺らを助けてくれた。
がむしゃらに、全力で・・・。
カイザーは卑怯だったよ。
黎奈に黎兎を殺すって脅して。」
泣きそうになるのをグッとこらえる。
「カイザーは本気だった。
本気で黎兎を殺そうとした。
俺たちも守ろうとした。だけどアイツの魔法で体の自由を塞がれて何も出来なかった・・・っ。
もう終わったと思った。
黎兎を助けれない自分を恨んだよ。
でも、違った。
違ったんだよ・・・ッ・・・」


