私は走っている黎兎をボーっと見る。
全体で大体3番目ぐらい?
速いな~。
「ねぇ、黎奈」
「ん?」
体を天音から離す。
「私、本当に黎兎の彼女で良いのかな・・・」
天音がある方向を見ながら悲しそうに呟く。
私もそっちに視線を移す。
視線の先には黎兎を見て黄色い声を上げている女子がいた。
いくら学校公認のカップルでも一部の人達はそれを認めていない。
「黎兎は天音のことが大好きなんだよ。
天音も黎兎が大好きでしょ?
だったら周りのことなんて気にせず堂々としてれば良いの」
「うーん・・・」
「いいこと教えてあげよっか?」
「?」
「黎兎、家でねスゴイ天音のこと話してくるんだよ。
今日こういうことがあって可愛かった。とか好きすぎてヤバい。とかとか。
正直たまに鬱陶しくて叩くときあるけど、話してる時の表情が本当に幸せそうで。
あー、本当に好きなんだなって思ってさ。
だから、そんなに心配する事ないよ。
不安なら聞いてみたら?
絶対安心できる言葉が返ってくるよ」
不安そうな表情の天音の頭を優しく撫でる。


