「なぁ、黎奈」
「んー?」
「父さんに会いたい?」
「え・・・?」
黎兎の方を見ると悲しそうに笑っていた。
「いやーさ、天音の父さんが闇族・魔族に姿を変えられてたんだろ?
・・・・・こんなこと思っちゃいけないけどさ、
俺、カイザーって奴が父さんだったら良いなって話聞いてて思っちまってさ・・・」
「黎兎・・・」
確かに私もそうであってほしいと一瞬だけなら考えた。
でも、そんなことはないと思い直した。
「こんなこと考えちまうってことは俺羨ましかったのかな。
天音のこと。父さんに会えて良いなって思った」
「私も思ったよ。できることなら会いたい。
でも、それは不可能なことだから。
・・・・・まぁ、私たちがこうやって思ってるだけでお父さんは幸せ感じるのかな~。
感じててほしいね」
笑いながら言うと
「そうだな」
黎兎も同じ調子で返してくれた。


