「あぁまっちゃん! 何とかしておくれよ、あたしが荷造りしてたら、久遠くんがいきなりカッターナイフを取り上げて・・・!」
あたしに声を掛けてきたのは、幹久のお母さんだった。
その後ろで、幹久の奥さん――詩織ちゃんが、不安そうに二人の取っ組み合いを見つめている。
ごめんね、ごめん。
あなたの旦那さん、怪我させちゃって・・・。
「久遠くん!!」
あたしは二人に近づく。
久遠くんはまるであたしに気付いていないかのように、幹久だけを狙っていた。
それも、嬉しそうに。
何ヶ所も腕を切られて流血している幹久。
ううん、それだけじゃない、頬も額も切られている。
「危ないから下がれ、マツコ!」
久遠くんの右手を掴んで、何とかカッターナイフを取り上げようとしながら幹久は叫ぶ。
それでもあたしは、二人の間に割って入った。
「久遠くん、あたしよ!」
はっきりとその視界に入っている筈なのに、久遠くんはまるであたしを見ていない。
あたしは幹久に加勢して、何とか久遠くんの手からナイフを取り上げようとする。
でも、二人がかりでも、久遠くんはナイフを離さない。
「幹久、大丈夫だから離れて」
目一杯腕に力を入れながら、あたしは後ろの幹久に言った。
「何言ってんだ」
幹久は、久遠くんを睨み付ける。
「こいつは・・・久遠じゃねえよ」
一瞬、あたしの動きが止まった。
その隙に、久遠くんが思いっきり右手を振りかざす。
あたしと幹久は、二人して道路に倒れ込んだ。
その場に立ち尽くす久遠くん。
この雰囲気――。
久遠くんが初めてこの町に来た時と同じだ。
ノリカちゃんをナイフで切り付けようとした、あの目だ。
あたしに声を掛けてきたのは、幹久のお母さんだった。
その後ろで、幹久の奥さん――詩織ちゃんが、不安そうに二人の取っ組み合いを見つめている。
ごめんね、ごめん。
あなたの旦那さん、怪我させちゃって・・・。
「久遠くん!!」
あたしは二人に近づく。
久遠くんはまるであたしに気付いていないかのように、幹久だけを狙っていた。
それも、嬉しそうに。
何ヶ所も腕を切られて流血している幹久。
ううん、それだけじゃない、頬も額も切られている。
「危ないから下がれ、マツコ!」
久遠くんの右手を掴んで、何とかカッターナイフを取り上げようとしながら幹久は叫ぶ。
それでもあたしは、二人の間に割って入った。
「久遠くん、あたしよ!」
はっきりとその視界に入っている筈なのに、久遠くんはまるであたしを見ていない。
あたしは幹久に加勢して、何とか久遠くんの手からナイフを取り上げようとする。
でも、二人がかりでも、久遠くんはナイフを離さない。
「幹久、大丈夫だから離れて」
目一杯腕に力を入れながら、あたしは後ろの幹久に言った。
「何言ってんだ」
幹久は、久遠くんを睨み付ける。
「こいつは・・・久遠じゃねえよ」
一瞬、あたしの動きが止まった。
その隙に、久遠くんが思いっきり右手を振りかざす。
あたしと幹久は、二人して道路に倒れ込んだ。
その場に立ち尽くす久遠くん。
この雰囲気――。
久遠くんが初めてこの町に来た時と同じだ。
ノリカちゃんをナイフで切り付けようとした、あの目だ。

