すっかり忘れてたけど、久遠くんは・・・そうだった。
 この2ヶ月、そんな言動は一切なかったから。
 まだ、心臓がドキドキしてる。
 でも・・・どうして?


「あ~・・・もう」


 ぶるぶると頭を振りながら、あたしは差し入れの山を睨み付けた。
 考えるの、今日はやめる!
 元々そんなに頭を使うタイプじゃないのよ。
 じいちゃんが格闘技ばかりやらせたお陰で、バリバリの体育会系なんだから。
 あたしは取り敢えずテーブルの上の差し入れの片付けに取り掛かり、時計を見た。
 そろそろ、夕食終わりでお客さんが押し寄せてくる時間だ。
 も、今日はトコトン仕事に集中しよう。
 何も考えられなくなるくらい。
 久遠くんは・・・ゆっくり休んでいて貰おう。
 元々、仕事は全部一人でこなしてたんだからね。
 あたしはエプロンを付けて、腕まくりしてから気合を入れた。