下町退魔師の日常

 それが早いか、サスケが祠に向かってジャンプした。
 祠から出て来たそれに、思い切り爪を立てて噛み付く!


「サスケ! まだよ、早すぎる!!」


 あたしは叫び、祠に向かって走り出す。
 それと同時に、包みを解いて。
 中から出て来たのは、短刀だった。
 かなり錆び付いていて、パッと見使い物にならないような短刀。
 だけど、柄の部分には細かな装飾が施されていて、それなりに豪華なものだ。
 解放された短刀は、嬉しそうに大きな気を放つ。


「はいはい、分かったわよ。今日もしっかり仕事しなさい・・・ね!」


 祠から出て来た“それ”に向かって、あたしは飛び掛りざまに短刀を振り下ろした。


「餓鬼・・・!」


 短刀が突き刺さった感触を感じながら、あたしは祠から出て来たものを確認する。
 人間ではない、明らかに異形のもの。
 ――だけど。


「今回、余裕だわ」


 不敵な笑みを浮かべて、あたしは呟いた。
 短刀は、餓鬼の首の付け根に、深々と突き刺さっている。
 その傷口から、しゅぅぅっという音と共に、湯気のような煙と異臭が吹き出す。
 苦しみ悶える餓鬼。
 それでもあたしに襲いかかろうと、耳元まで避けた口を剥き出しにしてくる。


「あんたなんかに」


 両腕に最大の力を入れながら、あたしは餓鬼を見据えた。


「食われてたまるもんか・・・!」


 もう少し。
 もう少しで、致命傷を与えられる。
 その証拠に、あれだけ錆び付いていた短刀が、みるみるうちに新品のように輝きを増していく。
 更にもがきながら、餓鬼は一瞬、あたしから視線を外した。