初めて会ったのはあたしの働いているキャバクラ。 まだ夏真っ盛りで熱かったのを覚えている。 その日も指名が被りに被っていて、 陸(りく)に会ったのは、ほんの顔見せ程度の5分。 でも、ちょっと長めの綺麗な黒髪を半分オールバックに結んでいて、 竹野内 豊と金城 武を足して2で割ったような顔に、 そして綺麗な指に、ハッと息をのんだ。 会話は自己紹介程度しかする時間がなかったのだけど、 もうそれだけで、恋の予感がするには十分だった。 とりあえず連絡先のメールアドレスだけ交換して、 席を立った。