色のない世界

「俺さ、目が見えないんだよ」

「はっ?またそんなあからさまに分かるような嘘ついて…」

「本当だって。疑うなら試してみたら?」

「……じゃ、そうする」
そう言って、私は琉の前に仁王立ちし腕を大きく振りかざした。

そう、いわゆるビンタ。

避けなければ、頬に手形間違いなしの力加減なのに琉はぴくりともせず、全く避けるそぶりがない…


今思えば、最初に見た時から視点が定まっていなかったような気がする…


.