色のない世界

「モカ、こっちにおいで?」

と自分の膝の上に座らせた。

私を呼んだその声や表情は私が知っているいつものおじいちゃんに戻っていて少し戸惑ってしまった。

その様子に気付いたおじいちゃんは、困ったように笑って言った。

「モカ、おじいちゃんの事嫌いになった?」

そう聞かれて、ブンブンと首を横にふった。

「じゃ、怖い?」

小さく横に首を振った。幼い頃の自分の事だけど子供って正直だ。

「そうかぁ…怖かったかぁ。でも、モカ、亜美は悪い事をしたね?」

「…うん」

「だから、おじいちゃんは怒った。それは、いけない事だと思う?」

「…ううん」


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