色のない世界

――バンッ。

勢いよく開けた扉の向こうに、拓は居た。

「拓…拓…」

呼びながら近付いた。けど反応はない。

「拓…冗談やめろよ…笑えないだろ…?」

「おい…拓…」

「…」

「拓…」

俺はその場に座り込んで、返ってくる事のない返事を期待して何時間も拓を呼び続けた…。


そしてある事に気付いた。

痛々しいほどに、顔に包帯が巻いてある…

顔に掛かっている布をとってもう一度見た。


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