禁煙して1週間。


朝から俺はずっと自分の匂いを嗅いで、銀からもらったガムを噛む。


廊下の先で見付けた大好きな後ろ姿。



「蘭子!」

「ん?あ、諒哉。おはよ」

「おはよ~♪ねぇねぇ、俺の匂いどう?」

「……香水がいつもより少しキツイ。あと、キシリトールの匂いハンパない」

「マジですか………」


努力が逆効果!?


でも、俺はめげずに蘭子の腕に抱きつく。


普通は逆?


いやいや、俺が蘭子にくっついてたいからそうゆうの関係ナシ!


「暑苦しい……。なんでそんなにくっつくの?嫌がらせ?」

「好きだからに決まってんじゃんかぁ~」

「あっそ。もう勝手にして!」


お?


今日は大人しく俺にベタベタさせてくれる。


蘭子の好きな匂いに近付けたっぽい。


嬉しくて、人通り少ない廊下でキレイな金髪にそっとキス。



「は!?さ、触んな!」

「いいじゃん。唇にすんの我慢してんだから!」


何も言えずに赤い顔で俯く蘭子。


まっ、そんな冷たいとこも全部ひっくるめて好きだよ。