出産より音瀬の誕生日の方が早くて、婚姻届は出せたらしい。


だから結婚記念日は音瀬の誕生日。


「この指輪ね〜実は、おもちゃの指輪なの!」

「そうなの?」

「うん!まだ高価なのは買えないから、これで我慢してくれって」

「でも可愛いから良いじゃん。音瀬らしいでしょ」

「そうだよね〜。結構気に入ってるの♪」


今のありすは、すごく幸せそう。


話してて痛みも和らいだのか、スッキリした笑顔を見せてくれる。



陣痛がきては、たまに痛みがひいて。


また苦しい痛みがきて。


その繰り返しでもう夜7時を回っていた。


「ありす。大丈夫?」

「ヤバイ……蘭子ちゃん…くる!!」

「う、嘘でしょ?マジ?」

「マジ〜!痛過ぎて笑えてくるっ!」


ええっ………急!!


あたしがつい最近、取ったばかりの免許が役に立つ日が来た。


車の鍵を手に取りエンジンをかけて、ありすを支えて家を出る。