ロッカーから鞄を取り、持ってきたギターを引っ張り出す。 優弥による盗難事件にあった、お気に入りのギターだ。 それを背中にかけてオフィスを出る。 「おっ、碧、練習か?」 すれ違う人が俺に声をかけ、疲労困憊の俺は黙って手を上げる。 そんな俺を見て、 「戸崎さん、大丈夫ですか?」 後輩たちは心配そう。 後輩たちにまで心配をかけて。 俺、何してんだか。 そう思うが、オンとオフのスイッチのある俺。 オフモードに入った途端、休憩モードになる。