ー蒼sideー 「賢一、ごめん。今日行けないや」 『マジかよ。 ……とうとう唯がキレた?』 電話の向こうの賢一に、 「いや、唯ちゃんはキレないよ。 ただ、ちょっと用があって……」 俺は伝えた。 『仕方ねぇな。 じゃ、今日は楽器店行こ』 「まじで!?弦買ってきてよ。 アーニーの……」 『お前の贔屓は知らねぇよ。 つか、自分で行けよ』 「ケチぃ……」 ブチッと通話が切れた。 今日の賢一は珍しく機嫌が悪い。 今日は踏んだり蹴ったりだ。 俺は気を取り直して前を向いた。