『唯ちゃん、今日東京に帰るの?』




あの事件から三日後、蒼から電話があった。

あたしは、うんと返事を返す。




あの事件以来、あたしは部屋に閉じこもりっぱなしだ。

お父さんとはまともに顔を合わせていないし、桜やお母さんとも話していない。

桜とお母さんはあたしに気遣って、元気付けようとしてくれたけれど。

だけど、それすら拒否してしまう、愚かなあたしがいた。





『じゃ、俺の実家で一泊しなよ!

今近くにいるから迎えに行く!』




否応なしにそう言って電話が切られ、

次の瞬間、




ピーンポーン……



チャイムが鳴った。






蒼は本当に頭が悪いのだろうか。

あの事件のすぐ後に、実家に来るなんて。




緊張する間も無かった。

大急ぎで荷物をまとめ、玄関を飛び出すあたし。

だが、あたしの目に衝撃的なものが映った。