「お騒がせしました」 あたしとお母さんに、深々と頭を下げる二人。 テレビやライブとは違い、すごく丁寧で礼儀正しい。 その姿勢にびっくりしてしまう。 何だか碧は少し悲しそうな顔をしていて。 そんな顔を見たくなくて、あたしは碧の手を引いていた。 大きくて硬くて、そして温かいその手。 触れると何だか安心する。 驚いてあたしを見下ろす碧。 その顔は、やっぱりかっこいい。 「馬鹿で間抜けだけど…… お……お姉ちゃんをよろしく」 やっとの思いでそう言った。