「唯?懐かしいなぁ」 聞き覚えのある声がした。 蒼よりも少し低めで、心地よい柔らかな声。 あたしは、昔この声が大好きだった。 「ダイくん……」 振り向くと、目の前にはあの頃と変わらないダイくんがいた。 黒い髪に、自然な眉。 優しげな瞳と、柔らかな口元。 その外見は正統派男子だ。 彼を見ると思い出してしまった。 その光景が、まるで映画のようにあたしの脳裏に映し出された。