「ただいま!」 玄関のドアを開いたあたしは、肩で息をしている。 蒼、きっとすごく怒っている。 だけど…… 「あれ?早かったね」 いつも同様子犬みたいにあたしを迎えてくれる蒼。 リビングから玄関まで走ってくる。 そんな蒼が大好きだ。 「蒼……その……」 謝らないと。 何言ってんの、あたし! それなのに、 「ごめんね。 唯ちゃんのバイト先、知らなかった」 どうして蒼が謝るの? 「俺が行くと面倒なの分かってたのに。 だけどね、友達があそこのケーキ美味しいって言うから……」