バイトを終え、家に帰る。 やっぱり家は真っ暗で、 「おかえり~」 なんて子犬のように駆けてくる蒼の幻影が見える。 あたし、いい女になろうと思って、ずっと我慢をしている。 碧を陰で支える彼女になろうとして。 だけどね…… やっぱり寂しいよ。 時には抱きしめてほしい。 甘いキスをしてほしい。 そして、あたしを見つめてゆっくりと話をしてほしい。 だけど、それはあたしの愚かな願望であって。 わがままを言って、これ以上蒼を苦しめてはいけないことくらい、分かっていた。