あの日から、Fの練習が変わった。 まるで、火が点いたかのように、本気モードに変わった。 「最近、ザキ氏来ないね」 友達が思いついたように言う。 「忙しいらしいよ」 あたしはそう答えた。 「そっか……。 時々忘れるけど、ザキ氏ってFだもんね」 そうなのだ。 蒼はFの碧なのだ。 いつもはおバカで、子供で、甘えん坊な蒼。 だけど、ステージに一歩踏み出すと豹変する。 危なくて、クールで、美しい獣に。 あたしはそんな碧に悶え苦しむ。