「あれ、マジでないでしょー」 蒼が頬を膨らませる。 「何でみんな知ってんの? 俺がザキ氏だって」 不思議な顔をする蒼を、 「だってどう見ても蒼君じゃん!」 「蒼君がいた時の焼きそば、超まずかったし!」 「てか、これからザキ氏って呼ぼう!」 クラスの女子たちは笑っていた。 最近では、すっかり文学部に溶け込んでいる蒼。 はじめは騒いでいた女子たちも、今は蒼に普通に接している。 ……というより、蒼をからかっている。 それは、蒼の人格のおかげかもしれない。