「大学祭、楽しかったな」 艶が客席に向かって叫び、客席は沸き立つ。 「俺も昨日はステージ企画を見せてもらったけどな」 「マジでー!?」 悲鳴に混ざり、客席から言葉が飛び出す。 「碧は?」 艶がそう聞くと…… 「ザキ氏ー!!」 客席から黄色い声が降り注いだ。 だから駄目なんだよ。 ここは蒼のホームだから。 観客の半分以上は同じ大学の人。 そりゃ、蒼、やりにくいはずだよね。 碧は唇に手を当て、しーっと顔を歪める。 その瞬間、碧は蒼に戻っていた。