「私はね、逃げてきたの」

ぽつり。


少女はゆっくり言葉を話した。



「何処にいたのかい?」

「白い部屋だよ」


風が心地よく二人の頬を撫でる。



「白い部屋でね、何人もの私と同じ服を着た子供がね・・・」



ふと少女は一旦、区切って吐き出すように言った。











「殺し合うの」



少女は固く目を閉じた。


頭に浮かぶのは真っ赤と白。












「それはどうして?」

少年は、はっきりと尋ねた。




少女は自嘲気味に笑った。








「実験体だからだよ」