「私はね、逃げてきたの」
ぽつり。
少女はゆっくり言葉を話した。
「何処にいたのかい?」
「白い部屋だよ」
風が心地よく二人の頬を撫でる。
「白い部屋でね、何人もの私と同じ服を着た子供がね・・・」
ふと少女は一旦、区切って吐き出すように言った。
「殺し合うの」
少女は固く目を閉じた。
頭に浮かぶのは真っ赤と白。
「それはどうして?」
少年は、はっきりと尋ねた。
少女は自嘲気味に笑った。
「実験体だからだよ」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…