白い壁に囲まれた部屋。クリーム色のカーテンで外の世界は区切られている。


その広い部屋の中のベットに横たわるはずの少女はいなかった。








ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。

暗い夜道を病院服を着た少女は走る。

額に汗が滲むほど必死なんだろう。

手で胸を押さえるほど辛いのだろう。



少女は走る。


それでも、走った。





目的地など知らず。



辿り着く場所も知らず。




帰り道など考えもしないで。




走った。