「名前は何?」
「うーん・・・」
少年の問いに少女は首を傾げてからゆっくり口にした。
「“03”だよっ」
「ゼロサン?」
「そうっ、数字の“03”」
少女は手首に付けられたシンプルで黒いブレスレットを見せた。
そこには、“03”と彫られた数字があった。
「へぇー、俺は伯楽ていうんだ」
「はくらく?」
「そう、忘れんなよ」
そう言って少年はいつの間にかいなくなっていた。
空を飛ぶ魚の夢を見た。
光に包まれながら、ふわふわと宙に浮く。
でも頭の中は冷静に、
目が覚めれば涙が零れるんだろうなと思った。