何度も何度も手を伸ばして背伸びしてついに、
バタン。
少女は倒れた。
「こんな処でのんびりしてていーのかよ?」
いつから居たのだろう。
黒いジャンバーフードで顔を隠した少年が倒れた少女を見下ろした。
「やらなきゃいけない事とかあるだろう?」
風でなびくフードの隙間から少年の不機嫌そうな顔がうかがえた。
「やらなきゃ・・・いけない・・・事」
病院服をまとった少女は首を傾げた。
「うーん、よく分かんない」
「そっか」
少年は興味なさそうな返事をした。
「あー・・・でも見つけてる途中なの」
クスリと少女が笑った。
「私が居てもいい居場所」
「俺もだよ」
シニカルに少年が初めて笑った。