この世界が光と影の二つに分けられるなら、
色で云えば白と黒。
勿論、自分は黒だなぁ。
黒いジャンバーフードを被っは少年、伯楽は、そう思いながら路地裏に出た。
「やあ、殺し屋クン」
聞き慣れた嫌味な声に振り向けば、黒いロングコートに身を包んだ男が立っていた。
「その名で呼ぶな。それは、もう捨てたから」
少年は相変わらず不機嫌な顔をして答える。
「いつもの君らしくないね」
「何がだよ」
「いつもよりしぶってる」
「だから何がだよ」
「ターゲットだよ。いつもの君なら直ぐに探しだして殺すくせに」
昔から、この男の全てを見抜くような目が嫌いだった。
「気まぐれだよ」
気まぐれ。
自分に言い聞かせるように言う。
「君は賢いから解っているよね?」
「・・・ああ」
うんざりするくらいに。
「“殺さないと殺される”これだけは忘れないでくれよ?」
妖艶な笑みを残して男は去っていった。