「ところで、お前の名前は?」


「波音よ」


「波音て…苗字は?」


あ、そっか
地上には苗字というものがあるのよね

でも海の世界には無い


どうしましょ…

その時、"海の先にあるもの"という本が目に入った


「うみ…さ…き?」


「なんで疑問形?」


「いえ…なんでもないわ

海先よ
海先波音」


「海先な!覚えた!

俺は水瀬海斗だ
よろしくな?」


「ええ、よろしくね」


少しだけ微笑んで言った


「…っ!」


「どうしたの? 顔、赤いわよ?」


「別に…なんでもねぇ…」


「そう?」


おかしな人ね