そこでようやく手が離される。 「今日は朝練中止にするよ」 「なんで、」 「あの子にもマネージャーはやらせないから。須磨さんが楽になると思ってOKしたけど、やっぱり須磨さんだけで充分だ」 「私は別に…」 「あんなの、ないだろう」 隠岐君の、海よりも深い優しさに大粒の涙が頬を伝う。困らせたいわけじゃないのに、涙は一向に止まらなかった。